こんにちは。はまだ歯科クリニックです。
女性の方々の方が、男性よりもむし歯や歯周病になりやすいと言われています。
都市伝説では?と思っている方々もいるのかもしれませんが、どうやら女性が男性よりも歯が弱いのは事実のようなのです。
どうしてなのでしょうか。
ちょっとだけ理由を追求してみましょう。
女性の方が、むし歯や歯周病になりやすいのは本当?
実際問題、女性の方がむし歯や歯周病になりやすいことは、様々行われている調査によって明確にされている結果です。
子供さんから高齢者の方々まで、ほとんど全国的に男性より女性の方がむし歯率などが高くなっています。
この事態は、日本だけの問題ではなく、世界的に言える問題であり、世界的にむし歯や歯周病に悩む女性が多いです。
妊娠すれば歯肉炎にかかりやすい
一般的には、妊娠すれば歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。
この要因には、女性ホルモンが大きく関与しているといわれており、特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌を増殖させてしまうことや、歯肉を形作る細胞が、エストロゲンの恰好なターゲットとなることがわかっています。
また、プロゲステロンというホルモンは、炎症のモトであるプロスタグランジンを刺激します。
これらホルモンは、妊娠終期になれば、月経時と比較して10倍から30倍にも増えると言われ、このような背景から、妊娠中期から後期にかけて女性の方々は歯肉炎になりやすくなってしまうのです。
また、女性の中には生理前後あたりに歯ぐきが腫れるという方がいるのですが、その原因も女性ホルモンが増えたことによると考えることができます。
女性の方がむし歯になりやすい理由
女性が男性よりもむし歯になりやすい理由としては、女性は男性と比較して、唾液の量が少ないことをあげることができます。
唾液には、抗菌作用があるため、お口の中の細菌を減らす役目をはたしてくれています。
また、唾液が通常、食事の食べかすや歯垢を洗い流してくれるため、唾液の量が減少してしまうことでむし歯になりやすい状況を作ってしまうことになります。
さらに、女性の方々は男性と比較して、お口の中の酸を中和する能力が弱いともいわれています。
女性の歯が男性よりも弱いのは歯の構造に関係している?
女性の方々の場合、歯のメカニズムも男性とはやや違っています。
歯というものは、「エナメル質」、「象牙質」、「歯髄(神経)」の3層から構成されているのですが、女性の方々は、男性ほどエナメル質が硬くはなく、エナメル質の下に存在する象牙質についても、男性と比較して、やや薄いことがすでにわかっています。
むし歯は感染症であり、ミュータンス菌などのむし歯菌が糖を餌として酸を発生させ、歯を溶かしてしまうのです。
女性の方々の歯のエナメル質の硬度が低いということは、酸が発生すれば、酸によってそれだけ穴があきやすいということであり、むし歯に弱いということができます。
また、女性の方々は、象牙質も薄めであるため、むし歯が象牙質に到達すれば、歯髄まで容易に侵入してしまうことでしょう。
女性の方が甘いものが好きだからむし歯になりやすい?
女性が男性よりもむし歯になりやすい理由としては、女性の方が男性の方々よりも、がぜん甘いもの好き!という方々が多いことをあげることができます。
女性の方々が男性と比較して甘いもの好きであるのは、ただ好みの問題だけでなく、ホルモンの影響や、自律神経の影響が関与しています。
女性特有のホルモンであるエストロゲンは、血糖値が上がった時に、βエンドルフィンという快楽物質を脳内に放出させる働きをもっています。
つまり、女性の方々の場合、エストロゲンのせいで、甘いものが快楽というサインが、男性以上に強く脳にインプットされているのです。
女性の方々の場合、出産や、授乳など男性にはないことが起こるため、そのためにたくさんのエネルギーが必要となるため、このようなメカニズムが構成されていると考えられています。
また、女性は、生理前のホルモンバランスの乱れが起こり、イライラして甘いものが欲しくなることがあります。
また、プロゲステロン(排卵直後から分泌量が増える、妊娠の準備のためのホルモン)期になれば、糖質欲求が起こります。
プロゲステロンが増加し、血糖値が下がりやすくなる傾向があるためです。
エストロゲンの分泌が減っても、プロゲステロンが増加し、血糖値が下がるため、血糖値を上げようと必然的に女性たちは、甘いものや糖質を求めてしまうのです。
お腹が減っているときに、血糖値を上げる機能は男性と比較して女性の方が低めで、男性よりも女性の血糖値は低下しやすいということがわかっています。
また、肝臓や、すい臓、副腎の交感神経が優位ではなくなってしまえば、血糖値が低下しやすくなることが起こります。
女性の方々は、男性と比較して、交感神経のスイッチが入りにくく、血糖値が下がりやすいので、甘いもの好きになる傾向があります。
比較して、男性の方々は、交感神経のスイッチが入りやすく、血糖値が下がりにくいので、それ程まで甘いものを求める欲求は強くないと考えられています。
甘いものを食べるとむし歯になる?
むし歯菌にとっての仕事は酸を出すことであり、むし歯菌の発する酸により、歯は溶けてむし歯になってしまうのです。
むし歯菌のエネルギーが充満し、働きが活性化することで、よりたくさんの酸を発するようになります。
むし歯菌にとってのエネルギーとは何か。
それが「糖」だということになります。
糖は、甘いものにたくさん含まれているため、甘いものを食べること自体が、むし歯菌に糖をあげてしまうことになり、糖をもらったむし歯菌はたくさんの酸を排出し、むし歯になってしまうのです。
女性は出産すると歯が弱くなる?
歯は身体の中で作られ完成すれば、歯の栄養分が身体に取られてしまうことはないです。
歯から栄養分が取られる以前には、全身を構成している骨の方から、栄養分は取られていきます。
歯は代謝(栄養を摂ったり出したりすること)はしないのですが、骨は代謝しているためです。
むし歯は、歯の質やむし歯菌、糖分、時間の要素が重なることで発症します。
このポイントの中で、子供さんを産むことでマイナスの方向に向くのは、糖分や時間です。
女性が出産した後は、授乳や、母体が回復するために栄養をたくさん摂る必要が出てきます。
そのような時期、お腹もかなり減ることがあり、食事以外にも糖分の入った食べ物をとる機会が多くなってしまいがちです。
また頻繁に摂取する習慣があれば、糖分が歯に付着している時間が必然的に長めとなり、むし歯になりやすい環境を作り出すことになります。
歯自体は弱くならないのですが、歯のまわりの組織は、そうではなく弱くなることはあります。
身体の抵抗力が弱くなって、歯周病の菌に負けやすくもなってしまうことでしょう。
妊娠中に赤ちゃんにカルシウムを奪われるというのは都市伝説?
昔から日本では女性が妊娠すれば、お母さんにあったカルシウムが赤ちゃんの方に取られて、歯が悪くなってしまう…といわれていました。
妊娠、出産の時、お母さんは歯や全身の骨が弱くなって、骨粗鬆症になるとも言われていた時期があります。
しかし、その後の研究によって、お母さんがカルシウムを赤ちゃんに奪われることはないことが報告されています。
厚生労働省の2012年の歯科疾患実態調査調査によると、一人の平均むし歯の数(治療済みの歯、喪失した歯も含めて)は男性が14.7本なのに対して、女性は、16.1本となっています。
このようなデータからも、女性は男性よりもむし歯になりやすい傾向が顕著です。
ただし、みなさんむし歯予防をきちんと行っていれば、むし歯になってしまうリスクをかなり減らすことができます。
それにはまず、意識して三ヶ月に一回程度は、歯科医院で定期健診を受けるようにしましょう。
むし歯はごくごく初期のもの以外は、そのまま放置しておいても治ることがなく、どんどん悪化するため、ひどくならないうちに、歯垢や歯石を徹底的に除去する姿勢が必要です。